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2004年9月、日本で初めてのWRC(世界ラリー選手権)が北海道の十勝で開催されました。この歴史的なイベントにakimitsu.net掲示板の常連さんであられる、てっしーさんが観戦され、その様子を詳細にレポートしてくださいました。
土のニオイ、歓声、選手やマシンから放たれるオーラ…。
行った人にしかわからない興奮を、新聞や雑誌とは違った視点で見るのはとても新鮮です。「目撃者」のリアリティをてっしーさんのレポートからも感じていただければ幸いです。そして、ワタシもお金があったら是非来年は観戦したいと思う次第です。
ではてっしーさん、現地からのレポートをお願いします!
akimitsuさんへ
初めまして、ではないですが、メールを差し上げるのは初めてですね。掲示板でお世話になっているてっしーです。先日掲示板でお約束したとおりWRC第11戦ラリージャパンの様子をご報告したいと思います。しかしながら、自分は文才に乏しく読み手を最後まであきさせない文章は書けないのですが、そこは何卒ご容赦願います(汗)。また、興奮が収まらずに「!」が連発されているところが多々ありますが、そこも目をつぶって読んでいただければ幸いです。
早朝5時に起きて羽田までクルマで移動します。ちなみにこの日は新車のデミオに免許取りたて自分が運転するという「新人」コンビ(笑)。おっかなびっくりな運転ではありましたが、なんとか無事に空港に着き、時間がないためにすぐに搭乗手続きと手荷物検査を済ませて連絡バスに滑り込みました。
すると、車内はもうラリー色に染まっています。スバルの旗を持ってる男性、パンフを片手に一日の行動予定を立てるためにじっと読み込んでいる女性、発車間際に全身スバルグッズで身を固めて乗り込んできたオジサン集団(笑)。実は、羽田から開催地の帯広までの路線は一日に4便しかなく、必然的にラリーのお客さんで埋まってしまったようです。そういえば、現地では車で移動しようと思い前日にレンタカーの予約を取ろうと電話したのですが、どこのレンタカー会社も予約でいっぱいでした!なんとか某T社のレンタカーでヴィッツを借りる事が出来ましたが、乗用車がこれだけ予約が埋まってるというのは結構珍しい事態なのではないのかと思いました。
さて、帯広空港に着くとすでに空港もWRCムードが漂っています。WRCの詳細を印刷した冊子や帯広市内の地図が無料で配布されていて現地の準備のほどが伺えました。必然的にこちらまで気分が高まってきます。ここで、ふと隣を見るとツアーのお客さんを待ってるのか一人のガイドさんの姿が…。何と手に持ったプラカードには「富士重工業(株)様」と書かれているではないですか!どうやら先ほどバスに駆け込んできたスバルグッズに身を固めたオジサン集団はなんと富士重工業の社員だったようです!妙に納得してしまいました(笑)。確かに母国日本で開催なのに社員が来ないというのは考えてみれば変な話ですからね。
レンタカーに乗り込み、30分ほど車を走らせると帯広市内に到着しました。まずは各会場の位置を把握してナビに覚えさせるためにあちこち回ります。しかし、スーパーSSの札内や、札内行きのシャトルバスが運行される幕別の駐車場などはまだ立ち入りが許可されておらず、幕別などは駐車場そのものがまだ設営途中でした。
そこで兄と二人で相談してシェイクダウンが行われている愛国のサービスパークに行くことに。どの会場もそれほど離れているわけではなく、移動は苦にはなりません。
愛国につくと、やはりここも駐車場が少しはなれたところに設置されていて、そこから観客は数百メートルほど歩くような仕組みになっています。ここらへんの準備は当然FIAの指示もあるのでしょうが、非常によく準備されている印象を受けました。また駐車場から歩いて行くとサービスパークの入り口は車道を挟んで反対側にあるのですが、そこは混乱を避けるために車道の下(入り口が橋の付近に設置されているので車道の下が歩けるのです)をくぐって通るように指示するほどの徹底ぶり。よほど念入りに準備をしてきた事が感じられて好感が持てました。
そして、ついにサービスパークに入ると…、おお!プジョーの307WRCがちょうどサービスを受けているところ!観客が立ち入れるエリアからわずか5mほどの距離にWRカーそのものがあります!自然と興奮してシャッターを切る数が増えてしまいます(笑)。余談ですが、出発前日に東京で40枚入りの使い捨てカメラを一つ買って「これで間に合うだろう」と思っていたら、結局最終的には40枚入りを4つ使い切ってしまいました(爆)。やはり身近で見ることが出来ると残り枚数なんて忘れてしまいます(笑)。
ところで、やはりまだ本番ではなくシェイクダウンだからか、どのメーカーのサービスのメカニックもそれほどぴりぴりした雰囲気でもなく、のんびりした空気が流れています。非常にのどかな雰囲気でしたね。
と!そこに真っ青なインプレッサが!われらがスバルのエースドライバー、ペター・ソルベルグです!兄と自分はもう無我夢中で名前を呼びます(笑)。ペターはやはり前年チャンプと言う事でメディアがひっきりなしにインタビューをしています。しかしその合間合間にファンに手を振ったりしてくれるところが彼らしいなと思いました。ちなみにこの日は息子のオリバー君も来ていました。あどけなくてとても可愛かったです(笑)。
ソルベルグの愛息オリバー君
ところで、スバルのサービスを見ていると隣にメディアの大集団が急に集まってきました。どうも一人の観客がインタビューを受けているようですが、なぜこの人が?と思って少し耳を傾けてみると「スバルのクルマはAWDという駆動方式と水平対向エンジンという世界でも類を見ない組み合わせを…」とスバルのクルマに関する説明をしています。なぜ一般の観客がそんな事をメディアに説明しているのだろうか?と疑問に思った瞬間、思い出しました。なんとこの人はスバルの竹中社長ではないですか!どこかで見た顔だと思っていたら自分が就活をしていたときに見ていたのでした(笑)。意外な人物にびっくり!
また、意外な人物といえばサービスでは昨年で現役を引退し、今年のラリージャパンでは特例でゼロカー(先行して競技区間を走り、安全を確認するクルマ)を運転する彼の帝王トミ・マキネンの姿もありました!もうシャッターが止まりません(笑)。
ゼロカーとマキネン
さて、サービスの様子はたっぷりたんのうしましたが、肝心要のシェイクダウンをまだ見ていません。しかしながらもう時間なのかなということで兄と二人で帰ろうとしたとき、向こうの河川敷のほうにものすごい砂煙が立ち昇っているのが見えました。これだ!!とばかりにそこへかけつけるともうそこは観客、観客、観客!駐車場からこちらに来る前に渡ってきた橋の下を流れる川沿いの河川敷がシェイクダウンのコースになっていて、そのそばの土手で観客は観戦できるようになっていました。二人とも腰をすえて待ち始めて10分ほど経っ時に、不意に向こうに砂煙が…!最後にサービスパークを出たのがセバスチャン・ローブだったからこれは彼に違いないと直感的に思い待っていると…来ました!シトロエンクサラです!微妙にクランクになってるところを少し姿勢を曲げて全開で自分たちの前を通過していきました!ここで驚いたのはうわさには聞いていた「飛び石」です。大体土手は河川敷から高さにして5mぐらいは上にあるはずなのですが(おそらく直線距離にして10m弱ぐらい?)それでも肩や額にぴしぴしと当たる小石を感じる事が出来ました。WRカーのパワーの凄まじさが分かります!続いて、カルロス・サインツ、われらがペター・ソルベルグ、ミッコ・ヒルボネン、フランソワ・デュバルなどが駆け抜けていきました。見ていて、自分ではペターとローブの姿勢制御が一番完成度が高かったように思います。また、インプレッサはやはり高回転型のエンジンだけあってか、他のメーカーのエンジン音よりかなり高かった印象を受けました。
さて、シェイクダウンもたっぷり堪能して帯広市内にある本部のHQ(ヘッド・クォーター)に移動して、今後の予定を立てます。夜の19時30分から帯広市の中心部でセレモニアルショーがあるということで、それまでにその前にある同じ場所で行われる各メーカーのドライバーのサイン会に行くことに…。と!そのとき!裏口でばったりペター・ソルベルグとコ・ドライバーのフィル・ミルズと遭遇!!しかしあまりに突然の事態に兄も自分も「は、ハァイ…」と声を絞り出すのが精一杯(泣)。今思い返してもなぜあの時握手、サイン、写真のどれか一つでもしておかなかったのかと悔やまれます(泣)。しかも出てきた言葉が「ハァイ」って…(泣)。中学生じゃないんだからもうちょっとましな事が言えればよかったのですが…。人間いざというときは何も出来ないことが多いようです(爆)。
結局、サイン会の整理券は各ドライバー50枚ずつしか用意されておらず、スバルのブースは一瞬で整理券がなくなりサインをゲットする事はかないませんでした。そこで気持ちを取り直して19時30分からのセレモニアルスタートをどこで見るかの場所を二人で考えます。セレモニアルスタートとは市内の大通りを封鎖して、特設されたゲートから全ての参加車が通り抜けて行くというものです。観戦場所の一番人気はやはり全てのドライバーがくぐって出てくるゲート付近ですが、自分としてはありきたりすぎる気もしたのでそこから大分離れた信号付近の通りの左側に陣を取りました。WRCは公道を走る競技のため、セレモニーも例に漏れずマシンは道交法に従って走らなければなりません。つまり、赤信号では止まらなければならない訳です!無論、ちょうど赤信号のときにひいきの選手が来るかどうかは運任せですが、他の場所よりは穴場で人も少なかったので自分はそこで待つ事にしました。ちなみに左側で待ったのはワークスのWRカーは全て左ハンドルなので、ペターが来るとしたらこちら側だからです(笑)。
待つ事1時間、ゲートのほうからまばゆい緑のレーザーが突然こちらまで届いてきました。いよいよ始まったか…。そう思っていた瞬間、歓声とともに一台のマシンが目の前で止まりました。なんと0(ゼロ)カーを運転するトミ・マキネンです!しかもちょうど赤信号(涙)!!我を忘れて手を振り、彼の名前を叫びました(爆)。0カーが右ハンドルで、しかも窓が閉まっていたために残念ながらマキネンからのリアクションはありませんでしたが…。
その後は車両番号の逆順に一台ずつ走行してきます。
ところで、今までWRCといえばワークスカーしか頭になかった自分ですが、このときプライベーターもさまざまな見所があると知らされました。何台かのプライベーターが赤信号で目の前に止まったりしますが、手を振って応えてくれる人、観客へのサービスにとエンジンの空ぶかしをする人、赤信号でマシンから降りてトランクの中から山ほどの飴を取り出して観客に振りまき、あげくに青信号になったのに気がつかなくて警官に注意されてあわてて発進する人(笑)。更に、中には短大の学科から(おそらくは授業の一環として)参加している車もあり、色々なプライベーターの様子を楽しむ事が出来ました。特に、競技車両番号71番のインプレッサは現行型の涙目、もしくはマイナーチェンジ前の丸目のインプレッサをベースカーにしている人がほとんどの中で唯一モデルチェンジ前の角型(GC8)で参加していて、同じGC8に乗っている兄は個人的に応援したくなったといっていました。なるほど、自分の車を持っているとこういうプライベーターの見方もあるんだなと思わされた瞬間でした。
さて、そうこうしているうちに番号はどんどん小さくなり、目の前に31番のマシンが止まりました。なんとスバルのPCWRCに参戦している日本人最高のラリードライバー、新井敏弘です!ちょうど赤信号になりかけのところで目の前で停車したので結構長い時間見ることが出来て嬉しい事この上ないです(涙)。
そしていよいよワークスドライバーの登場です!向こうのゲートのほうからは選手の名前が読み上げられ、2分ぐらい遅れて目の前に来ます。スバルのセカンドドライバー、ミッコ・ヒルボネンは前に一台いましたが信号に引っかかってくれてまたもや感動(涙)。フィルムの残り枚数がどんどん減っていきます(笑)。そして、ふいに、まさに目の前で青いマシンが止まりました。ペターです!一瞬自分の目を疑いましたが間違いなく車両番号1、ペター・ソルベルグその人です(涙涙)!!しかもさすが「ハリウッド」の愛称を持つペター、ご丁寧にドアを開けて半身乗り出してやってきました(笑)。いったいどうやってそれで運転しているのかはなはだ疑問ですが(笑)、パドルシフトがついているから意外と片手片足で運転は出来るのかもしれませんね。この後自分は沿道を離れてペターの車を追っかけていったのですが、公道といえどやはり人対車では追いつけず、そこからさらに数人の選手を見送ってセレモニアルショーは終了しました。既にこの段階で撮った写真は実に80枚近く(笑)。はるかに予想を超えたペースで撮り続けてしまいましたがそこはそれ、後悔はありません(笑)。
その後、兄と今夜泊まる帯広市の総合体育館(主催者が泊まる宿のない観客のために無料解放してくれたものです)に移動し、そこで翌日の行動を軽く相談し、朝の4時に起きられたら選手たちの出発をサービスで見送ろうという事になり、就寝。初日から大満足でした。
ここで初日を振り返ってみて最も印象に残ったのは異常という言葉ですら説明できないほどの限定のWRブルーのスバル車の多さです(笑)。7月に発売されてから東京ですら一回も見かけたことのないWRブルーのレガシィ、B4、フォレスター、そしてインプレッサワゴン、インプレッサWRX、インプレッサWRXSTiバージョン…冗談抜きで道を走る3台に1台はこれのうちのどれかでした(笑)。しかも一番びっくりしたのはWRブルーのレガシィのレンタカーが存在した事です!駐車場などで何回か見かけたのですが、「帯広300『わ』○○-○○」というナンバープレートがついていて、兄と二人で驚いていました。きっとどこかのレンタカー会社がWRCにむけて購入したものだと思いますが、何とも思い切ったことをしたものです(笑)。
実は、正直朝の4時に起きることなんて無理と思っていたのですが、4時少し前に兄に「もう皆起きてきてるぞ」と起こされました(爆)。やはり見に来た人はみな同じことを考えているらしく、体を起こすと体育館中がごそごそと出発の準備をしていました(爆)。眠い目をこすりながらも愛国のサービスパークへ移動すると、朝の5時まだというのに既に入口には結構列が出来ています!この日はラリージャパンのレグ1(競技1日目)、やはり歴史的競技の出発の瞬間に立ち会いたいと思う人は多いらしく、みな眠くて寒い中、文句も言わずに会場を待っています。5時ちょうどに開場して中に入ると当然のように全員サービスの付近に陣取って全車の出発を待ちます。レグ1ではそれまでの通算ドライバーズポイント順に出発していくので現在トップを独走するシトロエンのセバスチャン・ローブが5時30分に出発です。しかしよくよく考えたら当然ドライバーは全員1時間ぐらい前にはサービスに来ているはず…でも前日の9時近くまでセレモニアルスタートをやっていた事を考えると彼らがぐっすりと熟睡できたかどうかはかなり怪しいところです(汗)。しかしやはりそこはプロ。ローブなどは運転しながらコーヒーをすすりながら出発していきました(笑)。そしてポイント順に各車が出発していき、6時にはサービスはもうもぬけの空に(笑)。ここにいても特に何も出来ないのでとりあえず朝食を摂り、選手がサービスパークに再び戻ってくる昼まで食料をどこかのコンビニで買い込む事にしました。
9時ぐらいにローソンに入り、何を買おうか考えていると、となりに真っ赤なシャツを着たグループが…。首から下げているネームプレートを見るとなんとシトロエンのスタッフの人たちです!WRCではワークスのチームも食料調達に苦労するという話を聞きましたが、いつ選手が戻ってきて何を要求しても大丈夫なようにさまざまな食糧を買い込んでいたようです。ちょっとWRCの裏側を垣間見た瞬間でしたね(笑)。ただしシトロエンのスタッフの移動用の車が日産のバンなのはどうかと思いましたが(笑)。
愛国に戻ってくるとすでにサービスの辺りは人が立ち始めています。気のせいか昨日よりスバルに注目する人が増えているような気がします。ちなみにこの時点でペターは総合トップに立って戻ってきていることはオフィシャルの本部のHQでも発表されていたでしょうし、兄と自分はスバルからの速報メールで知っていました。ここ3戦コースオフやウォータースプラッシュでリタイヤしてるペターだけに、まずは無事にサービスに戻ってくることに一安心といったところでしょうか。そして、直前に東京で購入した雑誌でサービスの時にはサインがもらえるときもあると知っていた自分はさりげなく右手に昨日サイン会前に買ったものの使うことなく眠っていた色紙を握り締めながら待っていました(爆)。
12時前、ローブをはじめとして続々と各車が入ってきます。無論我らがペターも…!しかし、インタビューに答え、サービスのテントの中に入ったっきり彼は出て来ず、気がついたらマシンはニュータイヤを履き終えて、彼はすぐに出て行ってしまいました。さすがにスバルのホーム、日本での開催だけあってプレッシャーが大きいからサインなどしている余裕などないのかなと思い、この時はあきらめてお店などをぶらぶらと見た後何気なくスバルのサービスに戻ってきました。そのとき、ふとテントの裏側に人が集まっていると思ってそちらに目をやると…、??…???なぜかペターがいます!?さっき出て行ったはずなのに??訳も分からずフェンスに寄って手を振ると、「すぐに戻るよ!」と言って中に入ってしまいました。後で分かった話ですが、選手はサービスを出てもすぐにSSに向かうわけではなく、こういったときにはいったんサービス内にマシンをとめて昼食やファンサービスのためにそれぞれのサービスに戻ってくるらしいのです。事実、考えてみればその前にもペターより先に出たはずのマルコ・マルティンもみかけましたし。もしかしたらペターのサインがもらえるかも…と半信半疑で待っていると目の前を本当に何気なくトミ・マキネンが通過します(笑)。この人は終始神出鬼没でした(笑)。あまりにも突然すぎて思わず撮った写真は後姿だったぐらいです(爆)。その後10分ほど待ったところで…来ました!!ペターです!こっちに寄って来ます!!こちらからサインを頼むまでもなく、マジック持参で片っ端からファンにサインをして行きます。ここで昨日逃したペターのサインをゲット!!感動で涙が止まりません(涙)!!その後、彼は「もう行かなきゃ」と言ってマシンに向かい、次のSSへと出発していきました。思いがけず彼のサインが得られて、もう何とこの感動を表していいか分かりません(涙)。前日に2回もゲットし損ねていただけに喜びもひとしおです。
興奮冷めやらぬままTC(タイムコントロール=チェックポイントのようなもの。競技区間外ではこれらの間を指定された時間で走り抜けなければならない)の前で陣取っていた兄と合流。兄の話によるとTCのあたりではどのドライバーも時間をつぶしてぶらぶらしていたと言う事なので選手を見るだけならそちらの方がよかったようです。と、ここで兄から少し残念な報告が入りました。昨日セレモニアルスタートで応援を決意した71番のインプレッサが見当たらないと言うのです。さっきからもう最後尾の方の100番台の車もサービスに入り始めていると言うのに、71番がいない…。気になって貼り出されているオフィシャルの結果速報を見に行ってみると、SS2までの71番のタイムは発表されているのにSS3から表示がありません…。さらにTCの列を見てみると、目の前に70番のマシンが!すぐ後ろを見てみると…、ああ!72番の車です(泣)!!後で分かった事ですが、71番はSS3の途中で燃料切れでリタイヤを余儀なくされたと言う事です。せっかく応援しようとした直後だけに、少し残念でした。
そうこうしているうちに選手もみな出て行ってしまい再びヒマになり(笑)、昨日はオープンしてなかった各メーカーの展示ブースがある展示コーナーに行ってみました。スバルのブースではグッズが飛ぶように売れていて、店員さんも対応に忙しそうです。また、昨年ペターが実際に使用していたドライバーズスーツやトロフィーなどが展示されていて気分が盛り上がります。また、今年の競技参加は取りやめた三菱ですが、展示ブースは出展していて、色々グッズ販売やジュースの無料提供と競技とは別の形で参加をしていました。ジュースが無料なだけでなく、ランサーに乗っている選手の生写真をも無料配布していたりと、なぜだか他のメーカーよりサービスが至れり尽くせりな気がしたのは自分だけではなかったと思います…(汗)。結局ここの展示コーナーではスバルのチームシャツを買ってスバルファンをアピールする事にしました。
さて、時刻は14時近くになっていますが、ここまできて二人ともまだ昼食を摂ってない事に気がつきました(爆)。前日にHQに行った時に「帯広フードコーナー」という場所があり、行ってみたもののまだ設営されてなかった事を思い出し、そこにいってみることにしました。すると…なんと観戦チケット等を購入した人には無料でじゃがバターやフライドポテトや十勝牛の牛肉を振舞っているではないですか!これは是非お世話になる以外に道はないと思い、兄と二人で色々と食します(笑)。特にじゃがバターは、じゃがいもも帯広の特産品、牛乳も特産品なのでバターもおいしいでまさに至福の瞬間でした(涙)。無料配布ということでおかわりは少しためらわれたのですが、逆に向こうから「よろしかったらもう一ついかがですか」と勧められるのでお言葉に甘えてじゃがバターなど3つも食べてしまいました(爆)。WRCの観戦で視覚や聴覚だけでなく、味覚までも満足させてもらえるなどとは思っていなかっただけに予想外の収穫です(笑)。
遅い昼食を摂ったところで、HQにてラリーの進行状況を伺う事にしました。HQは帯広駅のすぐ裏にあるホテルに設置されています。吹き抜けのロビーに現在のSSの進行状況をリアルタイムに表示する大型モニターが設置されており、入ったときにはちょうど午前最後のSS4の全車の結果が順に表示されていました…、と思った瞬間に画面が急に切り替わり、ローブのタイムのみの画面に切り替わりました!まさにその瞬間にローブがSS5でゴールをしたようです。興奮して兄と二人で椅子に座りモニターの前に陣取ると、およそ2分ごとに出走順に結果が表示されていきます。画面にタイムが表示された瞬間に実際にゴールしたのだと思うと遠い林道でペターたちが限界走行をしているのが感じられてなかなか楽しめました。しかも狙ったかのようにこのSSでは首位のペターが2位のローブに0.1秒差の2番手タイムで二人が大接戦をしています!
北海道の大地を疾走するインプレッサWRC2004
もしWRCを見に行きたい人がいて、チケットが入手できなかった場合はサービスパークでサインを狙うかHQで常にリザルトを見守るかをする事をオススメしたいと思います(笑)。また、HQではWRCの歴史などもパネルで展示されたりしていて、今まで知らなかったWRCを知る事が出来ました。実は自分は今年からのにわかファンなので(爆)、全然昔のWRCを知らなかったのですが、これのおかげで実はマニファクチュアラーズチャンピオンに一番多く輝いたのは実はダントツでイタリアのランチアであるとか、日本のメーカーではトヨタであるとか、おそらくラリーファンなら知ってて当然のことを知る事ができました。
さらに、受付では今日の朝刊が無料配布されていました。特に地元の新聞では1面を割いて紹介しており、いかに帯広がラリーに熱心で地元を挙げてこのイベントを成功させようとしているかが感じられます。見出しには「世界の走り到来」とか「5万2千の観客、セレモニアルスタートに酔う」とか「アテネの次は、ラリーだ」など、さまざまなキャッチコピーや記事や広告が並びます。この旅行を通して本当に帯広の熱意が伝わってきた気がします。WRCは公道でレースをする競技である以上、地元の、また開催国の警察の協力は絶対不可欠ですが、ラリージャパンの成功には警察だけに限らない地元全体の協力があったように思います。
ここで、そろそろ札内のスーパーSSに行く準備をしなければなりません。実は、このSS(SS9)は安全確保の関係上チケットの販売が遅かったために兄と自分が唯一購入できたSSなのですが、スーパーSSであるだけに出発前から既に期待で胸が膨らみます。普段WRCは1台ずつルートを走りますが、スーパーSSはサーキット的な要素を持たせて、2台1度に走るSSなので、普通のSSと違って過激な走りが楽しめる上に、2台の勝敗がはっきりと分かります。また、それでいながら二つのコースは立体交差を利用して完全に分離しているので衝突の危険もありません。また、SS全体が特設ステージ内で完結するために、スタートからゴールまで全部見られると言うのも利点です。
早速幕別にある駐車場に車を止め、バスで札内の会場付近まで移動します。ここで驚いたのはシャトルバスの異常なほどの本数!事前の情報では幕別からは5分おきにバスが出発するとのことでしたが、自分たちが乗った前のバスなどは乗客を乗せずに見切り発車したぐらいバスが列を作っていて、全くストレスなく利用できます。おそらくは地元の観光バス会社の協力なのでしょうが、こういったところにも熱意が感じられます。バスの到着地から5分も歩くと札内のスーパーSSの会場が見えてきました。コース自体は8の字のような形をしていて、その周りを囲むようにスタンド席と立見席が立てられています。多くのお客さんが一番派手なアクションが期待できる立体交差の辺りに陣取っていましたが、自分は最後の直線からコーナーに入っていくマシンの挙動がよく見える位置に陣取りました。ここならコーナーへの進入でスピードの落ちた車体を流し撮りで撮れるとも思ったからです。さて、着席すると会場のコース内を車がゆっくりと走っています。どうやらこれは事前に募集した「スーパーSS体験試乗会」のようです。ノーマルのクルマで選手たちと同じコースを車は違えど走って気分を味わってみようと言う企画です。残念ながら自分が会場に到着した段階ではもう申し込みは締め切られていたので乗る事はできませんでしたが、タイムを競う選手ではなく一般の観客が乗っているだけあって皆ノリがいい(笑)!!こちらがコーナーに入るときに旗を振るとこちらに手を振り返してくれます。ちなみに走行していた車両はスバルインプレッサWRX、スバルフォレスター、三菱ランサーエボリューションVIII、プジョー307の4台でした。インプレッサとランエボは人気で、必ずフル乗車してました。
時刻は18時にさしかかり、ちょうど席の後ろを振り向くと見事な夕焼けが広がっていました。思えば、ここはWRCの開催地である前に北海道であるわけです。雄大な自然は東京では感じられないもので、何ともいえない雄大な感覚を味わえました。もし予算が許せばラリーの観戦ついでに北海道旅行などもできれば最高だったのですが、そこは悲しいかな貧乏学生(泣)、翌日の10時には朝一の飛行機で東京に戻る事が決まっています(泣)。それだけに、この旅行のクライマックスとも言えるこのSSを少しでも楽しもうと、気持ちを切り替えました。そしてついでに、温度の低下に伴い服もトレーナーに切り替えました(笑)。気温もやはり北海道、特にこの日は見事な晴天で放射冷却が強かったのかTシャツではかなり厳しい寒さでした。
そうこうしているうちに夜も帳が落ち、会場も混雑してきて、さらに会場後方の特設駐車場には次々と競技車両が到着しているのか高いエギゾーストノートが聞こえます。どうやら競技開始が近いようです…!と、そのときスタートラインに1台のクルマが並び、静かにスタートしました。どうやら000(トリプルゼロ)カーのようです。ゆっくりとコースを回り、そのまま出て行きました。次に並んだのは2台のマシン。片方は青色…間違いなくトミ・マキネンのインプレッサWRXのSTiの0(ゼロ)カーです!通常、前年まで現役で運転していたドライバーはゼロカーの運転は規則で禁じられているのですが、「帝王マキネンの走りを何とかして日本のファンに見てもらいたい」という主催者の意向により特例で走る事になったとのことです。と、マキネンスタート!現役を引退したとはいえさすがは「帝王」、同時走行の00(ダブルゼロ)カーにぶっちぎりの大差をつけて勝利!迫力の走りでした…!
そしてここからいよいよスーパーSS本番のスタートです!スーパーSSは主催者が選んだ組み合わせで出走して行きます。最初のペアは現在ポイントトップのセバスチャン・ローブとマルコ・マーティンの2台。ここはローブに緊張があったのか、マルコ・マーティンが大差をつけて勝利!自分もしっかりシャッターを切ることを忘れません(笑)。
次に名前が呼ばれたのは我らがペター・ソルベルグとベテラン、カルロス・サインツ!新世代ドライバーと言われるペターにどれだけカルロスがついていけるか!?といった勝負でしょう!いよいよスタート!しかし最初の直線、意外にもリードをとったのはサインツのマシン。ここはじっとペターがコーナリングでリードを奪い返すのを期待します。しかしこのスーパーSS、衝突を避けるためにコースを分離しているために最後のゴール直前にならないと勝敗が分かりづらいのです。ここで印象的だったのはペターをはじめとするワークスのドライバーはみんな立体交差のところでほとんどジャンプをしなかった事。ぱっと見はジャンプしたほうが派手ですが、ジャンプ中は空走してしまうために加速が得られずタイムが伸びないようで、皆坂の途中で一瞬減速して極力タイヤを地面から離さないように走っていました。と、そうこう考えているうちに二人のゴールが近づいてきました。残念ながらペターはサインツに負けてしまいました。しかしそれもそのはず、このSSのベストタイムをマークしたのは他ならぬカルロス・サインツだったのですから、これはある種仕方がないとも言えるでしょう。ベテランの底力を見せられた感じです。最初に言った事を訂正します(汗)。
このSSでの最大の見せ場は6番目のペアの新井敏弘vs奴田原文雄の対決でした。二人とも日本最高峰のラリーストであり、片や新井はスバルのワークスドライバーとして、奴田原は三菱のワークスドライバーとして参戦していて、当然使うマシンはインプレッサ対ランエボ。残念ながらラリージャパンではPCWRCは併催されてはいないので二人ともプライベーターとしての参戦ですが、この日本人二人が並んで走るとあって会場の盛り上がりは一気に最高潮まで高まります!WRCはどのレースもオフィシャルの時計の「○○分ジャスト」に出走するので、スタート付近の観客席からカウントダウンが聞こえてきます。3、2、1、スタート!最初の直線では新井がフォグランプをつけわすれたまま走ってしまい観客の緊張を誘いますがすぐに点灯します。第1コーナーに入る段階では奴田原のランエボが若干リード!!しかし最後のコーナー、2台のマシンはコーナーの立ち上がりでまるで示し合わせたかのようにすーっと距離を縮めていき、ほぼ併走してのホームストレート!!!観客のボルテージはもうレッドゾーンです!!!そしてわずかに数十センチの差で新井のインプレッサが勝利!!!!スバルファンとしてはこれ以上ないレースです!あとでしらべたところによると二人の差はわずかに0.5秒。まさに紙一重の勝利でした!後で自分でこの旅行振り返ったときに、この対決が一番のクライマックスだったような気がするほどの名勝負でした。
ワークスのドラーバーが大方走ってしまった段階で多くの観客は選手を見るために愛国のサービスへと移動してしましましたが、自分は最後の1台まで見るぐらいの勢いで一レース一レースを見届けていきました。面白かったのは各車の挙動などを見ているとベースカーやチューニングなどによる違いが見られることです。例えば、今回プライベーターで一番参戦が多かった車はランエボなのですが、ランエボの、しかもバージョンまで同じクルマのレースなどはスタートの直線ではっきりと加速性能の違いが浮き彫りになるし、またそうでなくてもランエボのバージョンVIがバージョンVIIIと走るときにエボVIの方が直線でVIIIを抜かすとエボVIは直線を重視したチューニングである事が分かったりします。また、単純にインプレッサ対ランエボのレースでは理屈ぬきで盛り上がります(笑)。逆にスズキのイグニス(日本名スイフト)とランエボの対決などは猛烈にイグニスを応援したくなったりします(笑)。当然ベース車や排気量の違いが大きいので無論ランエボの圧勝になるのですが、中には排気量の差の割にはかなり僅差まで詰めるイグニスもいたりして、そういうマシンとドライバーには個人的に敢闘賞を送りたくなります(笑)。
WRCはF1と違ってプライベーターがいるのですから、そういったWRCの派手な部分だけではなく身近に感じられる部分ももっと取り上げられればいいのにと思います。そういえば中にはトヨタのエアーリス=ヴィッツで参加してるチームもあり、自分たちのレンタカーがヴィッツであることから少し応援に力が入ってしまう部分もありました(笑)。
大体半分のマシンが走り終わったところで、途中の公道が混雑しているせいでマシンがいなくなり一時SSが中断してしまい、そこで時間も時間だったので兄と自分はここで帰ることにしました。その帰り際に出店で食べた「チーズフランクフルト」に味が未だに忘れられません(笑)。ひとたび会場を出てしまうと街灯などほとんどなく、足元が見にくくて歩きにくいですが、階段の終わりにそっと地面に置かれていた警官のものと思われる懐中電灯が、細かい事ですが思いやりが感じられて嬉しかったです。ホントにこのイベントは地元の協力があって成功した事だと思います。
地元の温泉でひとっ風呂浴びた後に前日と同じく、帯広市総合体育館に着き、疲れきった体で眠りにつきます。翌日の朝一の飛行機で帰らないといけないため、最後に朝のサービスパークを出発する車両を見送ってから帰ろうと二人で相談して就寝。実に朝の4時から丸20時間も活動していたのでくたくたです…。
朝の4時に起きて、またもや眠い目で愛国へと向かいます。これでペターを生で見る最後かと思うとちょっと寂しいです(泣)。とはいえこの日はペターはトップの順位なので規則により15番目に出発となっていて、5時からだと割と待ちます…。
この日のペターの出走は6時過ぎ。マシンが自分の前を通り過ぎる瞬間にペターはこちらが手を振ると小さく振り返してくれました。WRCではよく見られる光景ですが、よくよく考えたらこんなに近くでマシンに乗って出走に向かうトップドライバーと挨拶ができるというのはWRCならではですよね。F1でマシンに乗ってるシューマッハに手を振ろうとしたって手を振る以前に近づけませんし。このフレンドリーさがWRCの大きな魅力ですね。
ペターも見送って、空港までのヴィッツとのラストラン。思えばこの3日間よくこのヴィッツは走ってくれました。スタートのときのオドメーターがいくつだったか記録するのを忘れたので細かい燃費は出せませんが、おそらく12㎞/Lぐらいはいっていたと思います。そういえばこのヴィッツ、北海道仕様らしく4WDでした。加速とセンターメーターとトランクの容量はイマイチでしたがそれ以外はなかなかいいクルマだったと思います。幸い二人乗りでの利用だったのでトランクがいっぱいでも後席が使えましたしね。
よほど体が疲れていたのか、離陸前に飛行機の中でうとうと来ていたと思ったら知らない間に離陸していました(汗)。あの離陸時の加速にも全く気づかなかったとは…まぁ3日連続して寝不足ではそれもやむなしなのかもしれませんね。
こうして実に丸48時間近くに及んだ「突発的無計画系WRC強行ツアー」(笑)は無事終了しました。正直払ったお金以上の価値は確実にあったと思います。これ以上満足した旅行は自分の記憶の中にある限りではありません。来年も行ければいいですが留学があるので現状ではかなり難しいですね…。ひょっとしたら人生最後かもしれないWRC、たっぷりと楽しませていただきました。
乱文乱筆ではありますが、その上に膨大な量になってしまいましたが、これにてレポートを終えたいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2004年9月某日
投稿者:てっしーさん
注):写真はcarviewより拝借しました。
いやあ、てっしーさん。お疲れ様でした。
長文ですが、一気に読んでしまいました。WRC というのは選手とファンの距離が本当に近いようですね。いやあ、何度もいいますが、ホントうらやましい…。
ご投稿、どうもありがとうございました。
このコーナーでは、みなさまのお便りを募集しております。
などなど、ジャンルは無差別ですので、面白いネタを是非お寄せください。
管理人までメールにてご応募ください!
なお、2台所有されている方の体験談は「実例紹介」としてご投稿ください。
Last updated : 2004.10.15