i(アイ) LX
i(アイ)の乗り味を雑誌のインプレ記事風に書いてみます。
まずは最初に目に入るスタイリングから。
アイのスタイリングはすばらしい! このスタイルに魅かれて購入を決めた、といっても過言ではありません。軽自動車でこれだけ感銘を受けたデザインは、個人的にはビート以来です。奇しくも両車ともミッドシップです。
特に好きなのはフロントからAピラーを経てルーフ、サイドに流れるまでのラインです。本当に惚れ惚れします。ゴテゴテしたZガンダムのようなデザインがお決まりだった三菱がなぜこのような流麗なラインを描けたのか…。ああそうか、次期スマートと考えれば合点ですね。
リヤはフロント、サイドほどのインパクトはありませんが、上手にできていると思います。緩やかな曲線が巧みに使われた、柔らかいリヤスタイルです。
では、アイに乗ってみましょう。
アイは内装もすばらしい! 明るくカジュアルな雰囲気で、運転が楽しくなります。
特にワタシが気に入ったのは小さなかわいいシフトレバー。形といい位置といい、まるでスポーツカーのようで、シフトして運転するととても楽しいです。
グラスエリアもワイドで、運転もとてもしやすいです。
シートの出来はフロント、リヤとも今ひとつかな…。大きさが不足気味でサポートが弱いです。ただし乗り降りはしやすいです。要はアイはロングドライブより近場のお使いに向いているのでしょう。
まず、このクルマは乗り方で性格がまったく変わることがわかりました。
すなわち、日中に渋滞の街中を家族でおでかけするモードと、一人で深夜のテストコース(爆)をガンガン攻めたときでは、まったく様子が変わるということです。
まず街乗りですが、ごく大人しいです。「NAは遅いんじゃないのか?」と心配しましたが、確かに出足は遅れがちです。また登り坂は辛いものがあります。特に急坂では「故障した?」と思うくらい加速しません。
しかし流れに乗ってしまえば問題ありません。必要なときにちょっとエンジンを気合つけて踏んであげれば、街乗りで置いていかれるようなことはないでしょう。妻にも「アクセルは遠慮なく床まで踏んで」と伝えておきました(爆)。
気になるのは乗り心地。路面の凸凹を拾ってクルマがヒョコヒョコと動きます。卵形のモノコックボディで剛性が高すぎるのがアダなのか、例えば左前の入力が右後にもダイレクトに反映してしまいます。いわゆるスポーツカー的な「足回りが硬い」というのとはちょっと違うのですが…。おそらくはサスのストロークが少し足りないのと、タイヤがこのサイズにしては扁平で厚みが足りないからでは、と推測します。幸い我が家の近所は渋滞が多いので、スロースピードにおいては乗り心地の悪さは感じずに済みますが…。
一方、ちょっとムチを入れて走ると、このクルマは生き生きと走ります。
エンジンは5000回転くらいから俄然元気になります。NAエンジンはレスポンスもバツグン。そしてコーナーリングも鋭いもので、重量配分がよいおかげで特に登りコーナーや下りコーナーではバツグンの姿勢で曲がります。4人乗りトールワゴンとは思えない鋭い走りで、感動で鳥肌がたつほどです。
上で乗り心地のことを書きましたが、ハイスピードコーナーリングにおいては「引き締まった安定性の高い足」と評価が変わります。1600mmの背高ボディを不安感なくコーナーリングをさせるには、今の三菱ではこのセッティングが限界なのかもしれません。
高速道路は苦手です。
車高が高いため風の影響を受けるし、加速が遅いので合流ではテクニックが必要です。こなせないことはありませんが、遠出目的が多いならNAは推奨しません。逆に非力なマシンをテクニックでキビキビ走らせたいM男君には向いています(笑)。
ところで、面白いのは本人が汗かいてスポーティードライブをやったつもりなのですが、スピードメーターの数字はまったく大人しいところ(笑)。この感覚、どこかであったような…。思い出しました! ホンダ・ビートです! アイというクルマ、まさにビートを4人乗りにしたような走りをします。ミッドシップの軽ということで、通じるものがあるのですね。
ゲート付ATシフトがまた楽しさを演出しています。特にセカンドに落とす動きは、マニュアルとまったく同じです。ATらしからぬ小さくてスポーティーなシフトノブを操作していると、スポーツカーを運転しているような錯覚に陥ります。
ブレーキもミッドシップらしくよく制動します。コントロール性も申し分ありません。前後重量配分が良いのでブレーキング時の姿勢もバツグンです。ブレーキダストが少ないのはさすが日本車、掃除はラクです。
長々と書いてしまいましたが強引にまとめますと、やっぱり後輪駆動はいいなぁ、とつくづく思います。軽ワゴンが後輪駆動なんだから、こんなに楽しいことはありません。
トランクの大きさも、軽にしてはまずまずでしょう。この下にエンジンを格納しているため底は高めです。
しかし、底が高いのも悪くありません。絶対的な容量は減りますが、荷物を出し入れするのには、むしろちょうど良い高さになります。
アイの燃費は平均で10km/Lをちょっと超えるくらいです。
これは一般的に見たら寂しい数字かもしれません。しかし、ワタシとしてはなかなかの高評価を与えられます。というのも、我が家の運転状況は燃費には劣悪で
という状況です。これでリッター10kmを超えているのは立派な数字と思っています。
アイは満足点と不満点がハッキリと出るクルマです。ワタシが満足している点は
一方不満点は以下です。
不満点はこれらです。中には構造上やむをえないものもありますが、一つずつクリアしていけば、将来すばらしいクルマに育つと思います。
このクルマの魅力は二面性と思います。
すなわち、日常の軽ワゴンとしての使いやすさと、ミッドシップの軽快な走りの魅力、二つを併せ持っていることが最大のポイントです。まさに4人乗りのビート、といえます。
ただし完璧な万能クルマではありません。
というか、むしろスイートスポットは広くないクルマです。ミッドシップといえど本格スポーツカーには遠く及ばないし、利便性ならワゴンRやムーヴにはかないません。良いクルマなのですが、いざ購入となると意外と踏み切れないクルマかもしれません。
ワタシとしては、アイのメリットとデメリットを見極めた上での購入だったのでとても楽しく乗っています。日常のお買い物車なのに実は後輪駆動だなんて、カーマニアとしてこんなに嬉しいことはないじゃないですか!
しかし誰にでも推奨できるものではありません。特にウィークポイントに目をつむれるかが購入するときのポイントです。自腹で買うわけじゃない自動車評論家ウケがよいのもなるほど納得です(笑)。
最後に三菱自動車さんにお願い。
アイはすばらしいクルマなので、是非10年くらい販売して熟成を続けてほしいです。いずれ5速マニュアルや、VWのDSGのようなよくできたトランスミッションを搭載してくれたらなお嬉しい。きっとすばらしいシティコミューターに育つことでしょう。
Last updated : 2007.08.07